2009年08月27日

視覚運動学習における睡眠の効果

●第61回研究会
日時 :2009年8月7日(金)15:30-17:00
場所  :早稲田大学スポーツ科学部
         精神生理学実験室(570室)
演者  :玉置應子先生
     早稲田大学スポーツ科学学術院(日本学術振興会特別研究員)
演題 :視覚運動学習における睡眠の効果

発表要旨
 新しく獲得した視覚運動技能は,夜間睡眠後に向上することが示されている。ノンレム睡眠中に主要な脳波活動の1つである睡眠紡錘波が,この向上に関与する可能性が指摘されている。本研究会では,睡眠を介した運動パフォーマンスの向上と,その向上における睡眠紡錘波の関与についての研究成果を報告した。

 まず,新しく獲得した技能と既に獲得している技能の学習における終夜睡眠の効果を検討した結果,睡眠は新しく獲得された視覚運動技能の向上に効果のあることが示された。次に,睡眠紡錘波をslow spindleとfast spindleの2種類に分類し,それぞれの活動性と手続的記憶の定着との関連を検討した。運動技能課題の向上率が高いほど,fast spindleは高密度,高振幅,長持続であり,学習夜では学習をしなかった夜の非学習夜よりも,高振幅,長持続であった。一方でslow spindleの活動性と運動技能課題の向上の間に有意な関係はみられなかった。このことから,2種類の睡眠紡錘波の中でもfast spindleの活動性が手続的記憶の構築に関与すると考えられた。さらに,sLORETA(Standardized Low Resolution Brain Electromagnetic Tomography: Pascual-Marqui, 2002)を用い,学習に関連したfast spindle活動性増大の脳内発生源を推定したところ,左運動前野と左頭頂連合野に推定された。いずれの部位も視覚運動学習に関与することが分かっており,睡眠中にはこれらの部位において可塑的な変化が生じている可能性が示唆された。

 以上より,睡眠は視覚運動学習において効果的であること,fast spindleがその学習に関与することが示された。
ラベル:要旨
posted by wps at 21:58| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする