2009年02月12日

レム睡眠中の脳機能研究

●第60回研究会
日時:2008年12月22日(月)16:30-18:00
場所  :早稲田大学スポーツ科学部
      精神生理学実験室(570室)
演者  :小川景子先生(早稲田大学スポーツ科学学術院[PD])
演題 :レム睡眠中の脳機能研究
〜ヒトとラットを対象とした夢の発生メカニズム検討〜
発表要旨
これまで我々は夢の発生メカニズム検討を手がかりにレム睡眠中の脳機能研究を行ってきた。本研究会では,ヒトとラットを対象とした研究について紹介する.
@ヒトを対象とした急速眼球運動に伴う脳電位の検討
 レム睡眠中には鮮明でありありとした夢見体験が生じ、覚醒中のサッカードと形態が類似した急速眼球運動が生じる。この夢見体験と急速眼球運動には関連が指摘されている。そこで我々は急速眼球運動が生じる際の脳活動の様子を,時間分解能に優れ特定の事象に関連した一過性の脳活動を検討できる事象関連電位(ERP:event related potential)を用いて検討した。検討の結果、急速眼球運動の開始前には海馬傍回、扁桃体(PRN:pre-REM negativity)の賦活、急速眼球運動の開始に伴い運動野、頭頂連合野(P200r)の賦活、そして急速眼球運動の停留に合わせて後頭部視覚野(ラムダ様反応)の賦活が生じていることが分かった。急速眼球運動に伴い観察されたこれらの一過性の脳活動は鮮明でありありとした夢見体験の生成と対応すると考えられる。
Aラットを対象とした脳幹-皮質経路の検討
 レム睡眠中の急速眼球運動は脳幹由来であることが知られている。このことから、急速眼球運動に伴う一過性の脳電位活動は、レム睡眠中の脳幹と皮質の関連性を間接的に示した結果と考えることができる。そこで我々は、ラットを用いた動物実験により、直接、脳幹と皮質の繋がりを検討することとした。検討には、レム睡眠中の脳幹-視床-海馬-皮質経路を想定し、この経路の一部を破壊または活動抑制することで生じる、皮質活動への影響を検討した。検討の結果、経路のうち視床下部の一部(乳頭体上核)を破壊したところ、海馬および皮質の脳波活動(シータ波)に変化(周波数の低下,パワ値の増大)が生じ、脳幹-皮質経路に対する影響が観察された。さらに今後はレム睡眠中における脳幹-皮質経路の障害が日中の行動に及ぼす影響について検討し、レム睡眠中の脳機能について日中-夜間を通した体系的な検討を行っていく。

ラベル:要旨
posted by wps at 10:31| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする