2017年08月14日

生理心理学研究を目指す皆さんへ − 気づくこと,何とかすること,気を付けること

●第71回研究会
日時 :2017年8月5日(土)16:00−17:30
場所 :江戸川大学
演者 :高澤則美 氏
演題 :生理心理学研究を目指す皆さんへ − 気づくこと,何とかすること,気を付けること
要旨
生理心理学あるいは精神生理学では,行動と生理反応との関係を研究対象としている。実験研究において,行動にかかわる変数を独立変数とする場合,特に気を付けるべきことがある。それは,実験で設定した独立変数は,真の独立変数かという問題である。このとき,独立変数としての行動を明確に定義できる場合には,これは問題とならない。例えば,意図的な運動強度の変化と準備電位との関連などである。一方,行動を明確に定義することが困難な場合,研究者は慎重にならなければならない。本日の研究会で話したことから一例をあげると,犯罪捜査に利用されているポリグラフ検査の研究では,しばしば模擬窃盗場面が設定され,実験参加者は自分が盗んだものが何であるかを実験者に見破られないようにごまかすことが要求される。得られた生理反応データは,ごまかすことを要求しなかった条件と比較され,両者の差がごまかすことに関連した反応であると解釈されている。しかし,ここで観察された生理反応が「ごまかす」という独立変数の効果なのかは不明と考えるべきである。実験参加者は,実験者から要求された課題を遂行してはいたが,その具体的な内容は様々であり,実際に何をしていたのかはわからない。このような場合に,得られた従属変数が独立変数の効果であるとしてしまうのは,あまりにも短絡的と言うべきである。生理反応という具体的で明確な測定値を持つことが生理心理学・精神生理学の強みであるが,それゆえに気を付けなければならない事があることに留意すべきである。独立変数,従属変数を明確に定義し,剰余変数の介在を検討するのはもちろんのこと,研究で設定した独立変数が真の独立変数として機能していたのかを,慎重に吟味しなければならない。
ラベル:要旨
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視線行動に着目したアスリートのあがり防止の研究

第70回研究会 その2
演者 :吉川直輝氏
演題:視線行動に着目したアスリートのあがり防止の研究 (スポーツ科学学術院・修士課程)
要旨
本研究では,生理心理学的手法を適用したQuiet eye (QE) トレーニングと反復把握法と呼ばれる2つの斬新な対処法を用い,両者の相乗効果で「あがり」によるアスリートのパフォーマンス低下を防止させるという方法を着想した.QEとは,重要な動作開始前に生じる注視であり,QEトレーニングでは教示によってQE時間を延長させることを目的とする.反復把握法は,左手の把握動作によって反対側の大脳半球を賦活させることを目的とするものである.バスケットボールのフリースローにおいて,十分な技能と経験を有する11名を対象とし,プレテスト・トレーニング・ポストテスト・プレッシャーテストを実施した.トレーニングでは,QEトレーニング群,QEトレーニング+反復把握法群,統制群の3群に分かれ,それぞれの内容に従ったトレーニングを9回実施した.統計的に有意な差は認められなかったが, QE+反復把握法を実施した群はプレッシャーテスト時のQE時間とフリースローパフォーマンスに関して他の群やテスト条件よりも高い平均値を示した.さらに知見を集積していく必要があるものの,QEトレーニングと反復把握法を合わせたトレーニングはプレッシャー下でのパフォーマンス低下を防止し,「あがり」に悩むアスリートやスポーツコーチングに貢献できる可能性があると考えている.
ラベル:要旨
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運動学習とパフォーマンスモニタリング機能の関係

●第70回研究会 その1
日時 :2017年3月11日(土)15:30-17:30
場所 :スポーツ科学学術院570実験室
演者 :松橋拓努氏
演題:運動学習とパフォーマンスモニタリング機能の関係 (スポーツ科学学術院・修士課程)
要旨
運動学習課題には系列運動課題と適応課題がある.系列運動学習課題には大脳基底核が主に関与し,適応課題には小脳が主に関与する.エラー検出や行動修正を担うパフォーマンスモニタリングは,運動学習にとって重要な機能である.パフォーマンスモニタリングはこれまで,エラー関連陰性電位(error-related negativity: ERN)によって検証されてきた.本研究では質の異なる2つの運動学習課題を用いて,課題パフォーマンスとERNとの関係を検討した.ERN発現には大脳基底核の活動が影響することから,特に系列運動学習課題のパフォーマンスとERNとの間に相関関係がみられるものと予測された.実験参加者は,空間ストループ課題によって個人毎のERNを評価された後,系列運動学習課題と適応課題を行い,課題パフォーマンスを測定された.その結果,ERN振幅値は系列運動学習課題のパフォーマンス向上を予測したが,適応課題のパフォーマンス向上を予測しなかった.本実験の結果は,ERN惹起と系列運動学習課題の遂行に大脳基底核という共通した神経基盤を持つことから,ERN振幅値はパフォーマンスの向上を予測したと示唆された.

ラベル:要旨
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2017年02月21日

モンティ・ホール・ジレンマ課題における予期プロセス −刺激前陰性電位に着目して−

●第69回研究会
日時 :2016年2月27日(土)16:00-17:30
場所 :スポーツ科学部570実験室
演者 :平尾貴大,早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 博士課程1年生
演題:モンティ・ホール・ジレンマ課題における予期プロセス −刺激前陰性電位に着目して−
要旨
モンティ・ホール・ジレンマ(Monty Hall Dilemma: MHD)は,直観に反する意思決定を解にもつギャンブリング課題であり,直観との乖離から遂行者は興味深い選択行動を示す.本研究では,MHD課題に特徴的な意思決定の神経機序について,刺激前陰性電位(stimulus-preceding negativity: SPN)を指標として検討した.MHD課題において,多くの参加者は,Change選択,Stay選択共に当選確率50%と考えるにも関わらず,Stayを選択する.実験1では,このStay選択バイアスの原因について検討した.SPN振幅増大から,Change選択時よりもStay選択時の方が,結果に対する期待は大きいことを示した.実験2では,MHD課題の反復遂行に伴うChange選択学習について検討した.Change選択の学習に伴い,前頭部位のSPN振幅は有意に減少した.SPN振幅は,結果に対する期待に加えて結果フィードバックの情報価を反映することから,本実験の結果は「学習に伴う結果フィードバック情報価の低下」に起因したものと解釈された.本研究の結果から,選択と結果の随伴性に関する学習には,前頭前野の活動が関与することが示唆された.

ラベル:要旨
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2016年02月07日

日常的なポジティブイベントの継続的筆記が楽観性と悲観性に及ぼす効果

●第68回研究会早稲田大学 生理心理学精神生理学研究会

日時 :2015年3月13日(金)16:00-17:45
場所 :スポーツ科学部570実験室
演題: 日常的なポジティブイベントの継続的筆記が楽観性と悲観性に及ぼす効果
演者:本多麻子さん(東京成徳大学応用心理学部健康・スポーツ心理学科)
要旨
悲観主義者と比較して,楽観主義者は心身の健康状態がよく,あらゆるパフォーマンスが高い.拡張−形成理論(Fredrickson, 2001)によると,ポジティブ感情を経験すると創造性が高まり,視野が広がり,健康状態も優れ,よい変化をもたらす.また,ポジティビティはネガティビティの3倍を超えた場合に繁栄をもたらす分岐点となる.本研究では大学生312名を対象として,週1回,15週間にわたり「24時間以内(あるいはこの数日)にhappyだったできごと」の自由記述を求めた.日常的なポジティブイベントの構成内容の解明と,楽観性,悲観性,およびポジティビティとネガティビティの割合(ポジティビティ比)の変容を検討した.1回目と15回目の調査時に質問紙によって楽観性,悲観性,ポジティビティ比を評価した.各回の記述内容についてテキストマイニングを実施し,出現した語句のクラスター分析と共起ネットワークを求めた.その結果,ポジティブイベントの筆記実施前と比較して,15週間の筆記実施後に悲観性得点は低下し,楽観性得点は増加傾向であったことから,ポジティブイベントの継続的筆記は悲観性の低減と楽観性の増加という思考の変容をもたらした.大学生の日常的なポジティブイベントは,友人を中心とした人間関係に関連した内容と,食事や睡眠などの生理的欲求を満たす内容が多く,15週間を通じてほぼ一貫していたことが明らかになった.

ラベル:要旨
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2014年04月09日

深夜の仮眠がエラーモニタリング機能 (ERN・Peの振幅) に与える影響

第67回早稲田大学 生理心理学精神生理学研究会
日時 :2014 3月22日(土)16:30-18:00
場所 :早大所沢キャンパス第一会議室
演者 :浅岡章一さん;江戸川大学社会学部人間心理学科
演題: 深夜の仮眠がエラーモニタリング機能 (ERN・Peの振幅) に与える影響 (The effects of a nighttime nap on the error-monitoring functions during extended wakefulness)
要旨
覚醒時間の延長に伴う眠気の増大によって,エラーモニタリング機能が低下することは,先行研究で既に明らかにされている.本研究では,エラーモニタリングに関わる二つの事象関連電位成分
(Error-Related Negativity: ERNとerror-Positivity: Pe)
を指標に用いて,覚醒時間延長中の1時間の仮眠が,エラーモニタリング機能に与える影響について検討した.実験では,朝の起床後,一睡もしない状態で翌朝まで覚醒し続ける休憩群と,深夜1:00 - 2:00に1時間の仮眠を取る仮眠群を設けた.両群の実験参加者には,夜の21:00,深夜2:00,深夜3:00から各30分程度の認知課題を行わせ,課題中のエラー時のEEGから,ERNおよびPeを算出した.仮眠群は休憩群と比較して3:00からの課題における正回数が多く,その時間帯における眠気の訴えも弱くなっていた.両群とも21:00の時点と比較すると,3:00の時点ではPeの振幅は有意に低下し,ERNの振幅は低下傾向にあったが,群間では違いが認められなかった.以上のことから,夜間の1時間の仮眠は深夜の眠気を抑制し,反応の正確性を保つ効果は期待できるものの,エラーモニタリング機能の維持には効果がないと考えられた.
ラベル:要旨
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第67回研究会開催のお知らせ

第67早稲田大学 生理心理学精神生理学研究会
日時 :2014 3月22日(土)16:30-18:00
場所 :早大所沢キャンパス第一会議室
演者 :浅岡章一さん;江戸川大学社会学部人間心理学科
演題: 深夜の仮眠がエラーモニタリング機能 (ERN・Peの振幅) に与える影響 (The effects of a nighttime nap on the error-monitoring functions during extended wakefulness)
ラベル:研究会開催
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2014年04月02日

若年者と比較した中高年者の運動反応と前期・後期CN

第66回早稲田大学 生理心理学精神生理学研究会
日時 :2012年12月22日(土)16:00-17:30
場所 :スポーツ科学部570実験室
演者 :望月芳子さん;早稲田大学スポーツ科学研究センター招聘研究員
演題 :若年者と比較した中高年者の運動反応と前期・後期CN
    The motor reaction and the early and late CNV in the middle-aged
    compared with those in the young.
【要約】
 本研究では中高年者と若年者における運動反応と前期・後期CNVの関係を,多部位から測定した随伴陰性変動(contingent negative variation,CNV)によって比較検討した。参加者は中高年者8名と若年者8名とした。CNVパラダイムを用いて,反応タイミングに難易を設けた。分析の対象は前期・後期CNVの振幅と,命令刺激に対する反応時間(reaction time: RT)とした。結果を調べたところ,両群のRT間には有意差がなく,条件間にのみ有意差がみられ,タイミングが困難な条件のRTは安易な条件よりも遅延していた。中高年者群の前期CNVの振幅は,若年者群よりも大きな値を示した。タイミング困難条件におけるFzとCzの前期CNV振幅値は,タイミング安易条件よりも大きな値を示した。また,両条件における中高年者群の後期CNVの振幅は,若年者群のそれよりも大きな値を示した。Czの後期CNV振幅はFz,Pzのそれよりも大きな値を示した。これらの結果に基くと,両群のRTに差がなかったとはいえ,迅速な反応を遂行するために,中高年者群は若年群よりも,試行早期から反応準備や予期を高めていたものと考えられる。
ラベル:要旨
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2014年03月18日

第66回研究会開催のお知らせ

第66回早稲田大学 生理心理学精神生理学懇親会のおしらせ

日時 :2012年12月22日(土)16:00-17:30
場所  :スポーツ科学部570実験室

演者  :望月芳子さん;早稲田大学スポーツ科学研究センター招聘研究員
演題 :若年者と比較した中高年者の運動反応と前期・後期CNV

ラベル:研究会開催
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2012年12月27日

Effects of Response Complexity and Movement Duration on the Lateralized Readiness Potential

第65回研究会
日時 :2012年8月22日(水)
場所  :早稲田大学スポーツ科学部570実験室
#1
演者 :Lu Xu (Graduate School of Sport Sciences, Waseda University)
演題 :Effects of Response Complexity and Movement Duration on the Lateralized Readiness Potential

発表要旨
The purpose of this study was to reveal the organization mechanism of motor programming, manipulating two motor-related factors in a random design. Participants were asked to perform choice reaction time tasks, in which they responded to the randomly presented imperative stimulus by pressing buttons with their left or right fingers, respectively, in different response complexity and movement duration. Only complexity effect was found on reaction time which showed faster responses in the complex conditions. Neither significant complexity nor duration effects were observed on stimulus-locked lateralized readiness potential (LRP). Response-locked LRP waveforms showed varied onset timing among conditions, however, such discrepancy failed to reach any significant difference. The results suggested that two separate stages associated with response complexity and movement duration seemed to exist according to Additive Factor Method logic, which is consistent with our previous finding in a block-wise design. Further research is needed to clarify the functional loci of response complexity and movement duration effects in the random design.

ラベル:要旨
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